「サラシのseabass gameは飛距離と精度です」 |
原田 佐敏 |
奥松島のシーバス。話題だからと「日刊スポーツ」取材を依頼され、即、ヒット&キャッチしたが…やはりロックゲームの魅力には敵わず、アイナメ、ベッコウゾイの合間の気晴らし程度だった。だが、今迄の経験にない不思議で楽しい感覚を味わったら…ガラリと認識が変わってしまった。
梅雨から…「松島シーネット」に通うと石幡船長から「シーバスをやりませんか〜」と誘われる。最初は「ボートシーバスは東京、大阪、名古屋の湾内で飽きるほどやったから…」「磯のボートゲームも伊豆で楽しんだから…」と、失礼ながらいつも断っていた。興味がナイとか、ツマラナイとかではなく、同じ時間を使うなら、「松島ロックパラダイス」で根魚に集中したかっただけ。
が、毎度のようにシーバスの話を聞き、地元アングラーのシーバスの熱い思いを桟橋で聞き、こんなに大勢の方が夢中になるほど楽しいのか〜、で、取りあえずマジに一度試してみることに…
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朝焼けの中「いざ、釣りに出発」 |
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磯のサラシを狙え! この戦略は「伊豆のボート、ヒラスズキ」と一緒だがヒットするのはマルスズキ。ときにメーター近い超大物も釣れるが、大抵は40〜60cmが中心。「ナニがそんなに燃えさせる?のか」正直、理解できませんでした。(失礼)
が、「サラシ&海藻の帯」のヒットを経験して、やっと奥松島のシーバスゲームの楽しさが理解できました。ルアーのサイズやタイプ、カラーの選択より、まして動かし方など二の次で、「シーバスの居場所」へ「ピンのアプローチ」ができれば全てがキマル。
つ〜ことは「運や勘や根性」より、「的確な精度と飛距離」がモノを言うってワケ。原田的に言えば「キャスティングの美学」が集約された素晴らしいゲームでした。磯&藻&サラシのボートシーバスゲーム。これは日本のどこにもない奥松島オリジナルの「シーネット専用ゲーム」だ。大袈裟に言えば「世界でひとつ」の貴重なルアーキャスティングゲームじゃないかな。
ズバッと決まればビンゴ〜。風や波に邪魔されてちょっとズレたら無反応。ヒット後のファイトも藻や根と「障害物競走」だ。伊豆のボートヒラスズキの飛距離とベイエリアのピンポイント精度が必要な、難易度と、完成までのゲームクォリティーの高い「最上級」なゲームを実感できた。
コレならハマる。一度楽しさを味わってからは、少々波があって白いサラシが目に入ったら「朝夕は必ず磯際チェック」をしております。
ロック用で3タックル、コチ、ヒラメに2タックル、そこにシーバス用に2タックルを追加となれば、広い「シーネット」もロッドがニョキニョキの森林状態になって…スミマセンね〜。
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2003年記録魚の98cm |
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原田さんと一緒に「ハイ、チーズ」 |
今回は原田流「松島、沖磯のサラシ&藻際のシーバスゲーム」の解説です。まず、どんな釣りでも同じですが「適材適所」のタックルが必要です。至近距離のゲームなら湾内ボートシーバス用6ftの「ベイマチック」で存分に楽しめますが、波がある場所ではボートのステイ位置は安全確保で少々離れてしまいます。
こんな状態で、もしミヨシに立てないときは7.6〜8.6ftのショア用のシーバスロッドでロングキャストすることになります。まっ、自分の場合も「サーフスター」「サーフスターアローズ」を予備に持っていきます。
リールは中小型のスピニングで、ナイロンなら8〜12lb、新素材なら2〜3号が100〜200m巻ければ0Kです。
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飛距離と正確さのサーフスター |
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近距離戦にはベイマティック |
ついでにラインシステムですが、リーダー(新素材の場合は絶対に必要)は20〜30lbを2mセットすれば安心。ビミニツイスト&オルブライトノットが面倒(同船者に釣れている横で組直すのはツライ&アセル)なら「ナイロン12〜16lbの直結」でも問題ありません。不安なら先だけダブルライン(スパイダーヒッチなら簡単)という手段もあります。
リールのドラグ設定は障害物の中(藻の中)は強めに、オープンウォーターのファイトは、やっと寄る程度のセット(ライン強度の20%程度)です。むしろジャンプ&ヘッドシェイクがバレの原因になり、ユルユルの方がバレ防止になります。
シーバスはバレが多発する魚です。だから…バレ防止のグラスロッド(ベイマチック)、伸びによるバレ防止のナイロンライン、刺さりの良いバーブレスフックが使われているのです。
ルアーはミノーが中心で、水深があればバイブレーションも使います。もちろん藻穴のトップゲームも楽しめます。基本的に「ミノーサイズ」はシーバスの捕食しているベイトのサイズにマッチさせますが、7〜12cmが一般的なサイズです。シンキング、サスペンド、フローティング、ショートリップ、ロングリップ、カラーもトランスルーセント系、リアル系、リアクション系、この中からヒットルアーを探り出すことになります。コレもシーバスゲームの楽しさのひとつ。
仲間と乗船したら全員で違うサイズ、タイプ、カラーで探るのが「入れ食いの近道」ですよ。ちなみに原田、フローティングとサスペンドは「フレッシュバック」100、シンキングは「シーバックCD」90が中心(な〜んだ東京湾と一緒じゃん)です。
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ルアーはこんな感じ |
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リーリングはテロテロのノーアクション。深い場所なら最初だけトゥィッチを入れるが、基本的には「ただ巻き」が中心となります。コレも東京湾、内房ウェーディング、湘南サーフと同じですね。
ファイトは藻に絡んだり、浅根に潜られない限りゆっくり、じっくり、ロッドをため、優しく寄せること。先ほども言いましたが、むやみにジャンプさせたり、水面首振りダンス(視覚的にはとてもエキサイティングですが…)をさせるとバレの確率が高くなるだけ。ネットを使って確実にキャッチしましょう。
抜き上げ直前、ネットイン直前もバレ確率は50%ですよ。むやみに浮かせず、ゆっくり引っ張ってネットに誘導。大物ならネットインと同時にラインを緩め(コレ、シイラと一緒です)て、ネットの飛び出しを防止しましょう。
いよいよシーズンイン。とにかく、釣りの情報を小まめにチェックして、釣れだしたら即、予約。群れの行動なので一匹釣れたら周りに100匹。あとはキャスティングの精度と飛距離の腕を磨いて…
30m先の藻穴にズバッとキャストできれば、必ず奥松島のシーバスは微笑んでくれます。そうそう、言い忘れておりましたが、大物がヒットしたら同船者は釣りをやめて協力ですよ。万が一、ラインクロスでブッチンだと…友達が減りますから。
もちろんフッコサイズならコントロールできるので、注意しながら釣りをすることも可能です。実はシーバスもシイラやメッキ、子供のカンパチやイナダと一緒で、一匹ヒットすると…ファイト中のシーバスの真下や後方に数匹マジモードで追ってきます。コレぞ「漁夫の利」作戦には絶好のチャンスタイムです。ただし、友達に嫌われる覚悟も必要です。なぜなら…後ろについているシーバスの方が大きかったりして!
やはりシーバスは朝マズメが一番。早起きは三文の徳。船長はツライけど、本気で釣りたいなら朝です。原田は苦手ですけどね。サラシや藻際なら昼までも可能性はありますが、ベタ凪なら朝日が昇った2時間までがチャンスタイムとなります。
視覚刺激のゲーム、腕の差歴然のゲーム、もう、ヤルしかありませんね。
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